[ 編集者:学院史編纂室 2014年9月28日 更新 ]
文学部
【沿革】
文学部は1934年の大学令による大学昇格時に、法文学部文学科として哲学、倫理学、心理学、宗教学、社会学、英文学の6専攻からスタートした。
教授5名と助教授1名が指導に当たり、36年に25名の卒業生を送り出している。
37年には教授8名となり、42年には国文学専攻が開設された。
当時としては他にあまり例を見ない女子専門学校卒業者の入学や外国人の入学を認めていた。
戦後、1946年には法文学部・商経学部が廃止され、新たに文学部・法学部・経済学部の3学部が設けられた。
定員は各学部80名であった。
特筆すべき制度として、教授会による学部長公選制が導入され、初代文学部長に今田恵教授が選出された。
1947年に公布された学校教育法による学制の発足に際し、本学も旧制の大学学部・同予科・文学専門部を廃止し、新制度による大学として48年4月に法学部・文学部・経済学部の3学部が設けられた。
文学部は、旧制時代の形態を引き継ぎ、哲学科、心理学科、教育学科、社会学科、国文学科、英文学科と戦時中閉鎖になっていた神学部を神学科とすることで計7学科を開設した。
49年の専任の教授陣は、今田学部長をはじめ教授13名、助教授5名、専任講師10名、助手8名であった。
学生は旧制度から新制度への移行期で、旧制大学の学生、新制大学の学生、大学予科、専門学校からの移行生が混在していた。
文学部は新制度の文学部として発足した当初から、哲・史・文の3系列の学問分野を整備し、人文科学の全分野にわたる研究教育を構想していたが、まず1951年に史学科、52年には美学科と社会事業学科が相次いで増設された。
その後、59年には独文学科、63年には仏文学科が設置され、文学系の学科の充実が実現した。
神学科は関西学院の創立以来の歴史的経緯からも神学部として独立した学部であることが望まれ、1952年に神学部開設が認可され、直ちに独立した学部として発足した。
また、60年には社会学科と社会事業学科が新たに社会学部を創設し文学部から分離独立した。
大学に昇格して以来30年、文学部は学問研究の動向や社会の要請等を踏まえて発展を遂げ、1963年に9学科構成となった。
その後、77年に教育学科を教育学専修と教育心理学専修の2類に分かち、翌78年に史学科を日本史学・東洋史学・西洋史学・地理学の4類に分かって9学科13専修体制が確立した。
以来、安定的にこの体制で運営されてきたが、90年代の終わりごろから学科再編の必要性が叫ばれるようになった。
文学部内で検討を重ねた結果、2003年度より哲学、美学、史学の3学科を統合して文化歴史学科に、心理学、教育学の2学科を統合して総合心理科学科に、日本文学、英文学、フランス文学、ドイツ文学の4学科を統合して文学言語学科に改編することになった。
文化歴史学科は哲学倫理学、美学芸術学、地理学地域文化学、日本史学、アジア史学、西洋史学の6専修で、総合心理科学科は心理学、教育心理学、臨床教育学の3専修で、文学言語学科は日本文学日本語学、英米文学英語学、フランス文学フランス語学、ドイツ文学ドイツ語学の4専修でそれぞれ構成され、カリキュラムや時間割などは専修単位で企画・起案され、これを学部が調整して管理・運営する形を取っている。
09年度に西宮聖和キャンパスに教育学部が設置された際、総合心理科学科臨床教育学専修がその一翼を担うこととなり、文学部から分離することとなった。
そのため総合心理科学科は残った2専修(心理学・教育心理学)を心理科学専修に統合し、1学科1専修体制となった。
〔研究科〕専門研究者の養成を目指した新制大学院、文学研究科修士課程(博士課程前期課程)は1950年に哲学専攻・心理学専攻・英文学専攻がスタート、翌51年には聖書神学専攻・社会学専攻・日本文学専攻が、52年に教育学専攻が開設され、聖書神学専攻は神学研究科として独立した。
54年に美学専攻と西洋史学専攻、61年に日本史学専攻が開設され、社会学専攻が社会学研究科として独立した。
さらに63年に独文学専攻、67年に仏文学専攻が設置された。
2002年には大学から「大学院学校教育研究科(学校教育専攻)構想」の要請を受け、教育学専攻の中に学校教育学コース(博士課程前期課程)を設置することになった。
07年には03年に文学部が学科改編したことに伴い、その学生たちを受け入れるため、学部同様、07年に研究科においても改編を行った。
これまでの10専攻を文化歴史学、総合心理科学、文学言語学の3専攻に改編し、文化歴史学には哲学倫理学、美学芸術学、地理学地域文化学、日本史学、アジア史学、西洋史学の6領域、総合心理科学には心理学、教育心理学、臨床教育学、学校教育学の4領域、文学言語学には日本文学日本語学、英米文学英語学、フランス文学フランス語学、ドイツ語文学ドイツ語学の4領域を統合した結果、計14領域からなる組織が確立された。
なお総合心理科学専攻は学部の総合心理科学科同様に、2009年に臨床教育学領域の教育学専攻への移管に伴い統合し、心理科学領域および学校教育学領域の2領域となった。
博士課程(博士課程後期課程)については、1954年に哲学・心理学・日本文学・英文学の各専攻で設置され、56年に西洋史学専攻、61年に美学と教育学専攻、63年に日本史学専攻で設置された。
独文学専攻と仏文学専攻は修士課程と同時に博士課程が開設され、10専攻が確立した。
その後2007年に博士課程前期課程同様改編がなされ、3専攻13領域(前期課程における学校教育学領域を除く)体制に、09年には3専攻11領域となった。
文学研究科では、聴講制度と科目等履修制度を設け、正規の大学院生以外の者が特定の科目を学ぶことができるようにしている。
教職課程プログラムでは、専修免許状の取得が可能である。
〔教育〕新制大学では学科課程を、一般教育科目と専門教育科目に分けて構成することになっていたが、文学部では専門教育科目を学科ごとに配当し、1年生で一般教養科目、2年生で一般教養科目と一部の専門教育科目、3、4年生で専門教育科目を履修させ、最終学年度で卒業論文を提出させ、口頭試問を含めた審査に合格することを卒業の要件としてきた。
大学設置基準の大綱化を受けて、1994年に大幅なカリキュラム改正を行い、さらに99年からは総合教育科目と専門教育科目の区分を廃し、キリスト教科目、言語教育科目、学部科目(共通科目および学科専修科目)、広域科目、情報科学科目、特別科目、教職等資格関連科目からなる並列的な科目編成となった。
文学部の教育にとって大きな課題は、学科への分属の時期と方法についてである。
その問題はカリキュラム編成にも関わるものである。
1949年から文学部独自で入学試験を実施し、文学部生として一括入学させて後に学科に分属させる方式を採っていた。
しかし新入生に対する指導の困難さや特定の学科に分属が偏ることから、53年からいわゆる学科別採りが実施された。
大学紛争を経た69年からは再び1、2年生は学科に分属させず、3年生のゼミ選択と同時に所属学科を決定するものと改められた。
この試みは多くの点で積極的に評価されたが、現実的にはやはり特定の学科に学生が集中するという結果が生じた。
その後予備登録制度を導入するなどの努力が重ねられたが課題の解消には至らず、86年には入学時から学科所属とすることになり、それに対応したカリキュラムが編成され、さらに92年から学生募集や合否判定に関しても学科・専修別で行われるようになった。
2003年の学科改編時から、文化歴史学科では思想文化系と歴史系に分けて選抜し、2年次に学生本人の希望に従って専修分属を行い、総合心理科学科では学生募集は学科で実施し、3年次の演習選択時に専修分属を行った。
文学言語学科では専修単位で学生募集を行い、入学の時点で所属専修が決定していた。
その後文化歴史学科は08年から専修別で学生募集を行うことになった。
〔研究〕文学部では1946年に教員による研究組織として関西学院大学文学会が発足した。
その最初の研究発表が47年6月に行われて以来、回を重ねるとともに、50年には「関西学院大学文学会規約」が作られ、それに基づき同年8月にその機関誌として『人文論究』第1巻第1号が刊行された。
当初は季刊制(年間4回発行)であったが、1951年(第2巻)から隔月発行制(年間6回発行)に切り替わった。
しかし、57年(第8巻)から再び季刊制に戻った。
なお、文学会は1956年4月より名称を関西学院大学人文学会に改めた。
『人文論究』以外に、文学部では8つの専修が計10種の学科年報・紀要を発行しており、研究活動を支えている。
大学では、各専任教員の研究業績などは、当該年度に加えて過去5年度分をウェブサイト「関西学院研究業績データベース」で公表している。
文学研究科の教育・研究の活発化を推進するために、文部科学省の競争的資金を獲得し体制を整えている。
これまで研究分野では2002年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア推進事業)に「先端技術による応用心理科学研究」が採択された(~06年度。
その後07年度に申請を行い09年度まで継続)のと、03年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業(産学連携研究推進事業)にアート・インスティチュートによる「江戸時代の小袖に関する復元的研究」が採択され(~07年度)、大きな成果を挙げた実績がある。
大学院教育では05年度に文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブに「理工系分野に貢献する心理科学教育」が採択された(~06年度まで)のと、09年度に文部科学省の組織的な大学院教育改革推進プログラム「国際化社会に貢献する心理科学実践家の養成」が採択され(~11年度まで)、心理科学の研究・教育を推進し、多くの成果を挙げてきた。
現在は文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成事業「心理科学を基盤とするインタラクション評価システムの開発と応用」プロジェクト(10年度採択、~14年度まで)によって、さらに研究環境の発展・拡充を図っている。
【現状】
文学部および文学研究科の概要は関西学院大学ウェブサイトで周知している。
〔学生〕文学部の学生数は、入学定員が770名、収容定員が3,080名であるのに対して、2014年度入学生683名、2年生761名、3年生767名、4年生928名の合わせて3,139名となっている(2014年5月1日現在)。
学部学生は一般入学試験(全学日程、学部個別日程、関学独自方式日程)、大学入試センター試験を利用する入学試験、AO入学試験、グローバル入学試験、指定校推薦入学、高等部推薦入学、協定校推薦入学、提携校推薦入学、外国人留学生入学試験、帰国生徒入学試験、特別選抜(スポーツ活動)入学試験、編入学試験によって選抜され入学が認められた者たちである。
〔教職員〕3学科11専修に所属する専任教員71名、専任職員8名、嘱託職員1名、アルバイト職員3名、派遣職員2名、教務補佐7名によって構成されている(2013年度末現在)。
〔教育〕文学部のカリキュラムは、キリスト教科目、言語教育科目(英語・フランス語・ドイツ語・中国語・朝鮮語・スペイン語から2外国語)、情報処理科目、人文演習、総合科目・入門科目および卒業論文からなる共通科目と、各学科・専修が開講する専門講義科目、特殊講義科目、研究科目、実験実習科目、専門言語科目からなる学科科目から構成され、この2つの科目について各専修で定めた課程表に従って履修し、これに学際・連携科目と称される全学科目や他学部開講科目など学生自らの意志に基づく自由履修を3本の柱とする履修体系をとり、1年生から一部の専門科目も履修できるようにして学生の学習意欲を喚起している。
学科・専修制をとる文学部では一部の講義科目を除き、少人数による授業が展開され、教員との親密なコミュニケーションによる相互理解が進められている。
また総合科目などのように一教科を多数の担当者がそれぞれの観点から論じるオムニバス形式の授業を取り入れるなどの工夫を凝らしている。
文学部では、社会および学生の多様なニーズに応えるため、文学部内副専攻制度を設けている。
さらに大学では、学部の枠を超えた複数分野専攻制(Multidisciplinary Studies:MS)、MSを利用して2つの学部を卒業することができるジョイント・ディグリー(2014年度よりマルチプル・ディグリー)制度も設けており、文学部でも実施している。
また、文学部開設以来、教職課程を設け学生が中学校、高等学校教職員免許状を取得できるようにしている。
〔研究科〕文学研究科の学生の受け入れは、前期課程では9月の第1次入学試験と3月の第2次入学試験、後期課程は3月の一般入学試験と特別入学試験(推薦、社会人、留学生)からなり、一般入学試験に加えて、前期課程への進学については学部生を対象として、後期課程への進学については前期課程学生を対象として推薦入学試験も実施している。
前期課程の入学定員は64名、収容定員は128名、後期課程の入学定員は20名、収容定員は60名であるであるのに対して、学生数は前期課程では2014年度入学生42名、2年生55名の合わせて97名、後期課程は14年度入学生17名、2年生17名、3年生14名の合わせて45名となっている。
2014年度一般入学試験における前期課程の志願者は1次・2次合わせて62名、後期課程の志願者は18名であった。
今後も継続して優秀な学生を確保するための対策に取り組む必要がある。
文学研究科における新制博士学位授与者は、論文博士(乙号)が1962年12月の第1号から2014年3月までの51年間に128名、課程博士(甲号)が1964年2月の第1号から2014年3月までの50年間に159名となっている。
2000年度から課程博士育成の促進を図るため大学院学則や文学研究科内規を大幅に改正するとともに博士学位取得の基準を明確にした。
2006年度入学生から学位論文を提出できる期間が入学時より10年間から原則6年間に短縮された。
文学研究科の大学院生や研究員の研究活動は多様である。
関連学会に所属し、積極的に研究成果を発表している大学院生や研究員も多い。
このような研究活動を支援するため、大学で設けている海外研究助成金制度や大学院奨励研究員制度以外に、文学研究科独自の研究活動支援制度を2008年度から設けた。
人文学会が季刊で発行している『人文論究』に掲載された大学院生や研究員の論文は、10年度16篇、11年度14篇、12年度19篇、13年度13篇を数えている。
また各専攻・領域が公刊している研究誌にも数多く発表されている。
このような成果が認められ、日本学術振興会特別研究員に採用される数も増えてきている。
【参照】Ⅱ 110【文献】『関西学院大学文学部60年史』1994;「文学部教授会記録」;「文学研究科委員会記録」
文学部は1934年の大学令による大学昇格時に、法文学部文学科として哲学、倫理学、心理学、宗教学、社会学、英文学の6専攻からスタートした。
教授5名と助教授1名が指導に当たり、36年に25名の卒業生を送り出している。
37年には教授8名となり、42年には国文学専攻が開設された。
当時としては他にあまり例を見ない女子専門学校卒業者の入学や外国人の入学を認めていた。
戦後、1946年には法文学部・商経学部が廃止され、新たに文学部・法学部・経済学部の3学部が設けられた。
定員は各学部80名であった。
特筆すべき制度として、教授会による学部長公選制が導入され、初代文学部長に今田恵教授が選出された。
1947年に公布された学校教育法による学制の発足に際し、本学も旧制の大学学部・同予科・文学専門部を廃止し、新制度による大学として48年4月に法学部・文学部・経済学部の3学部が設けられた。
文学部は、旧制時代の形態を引き継ぎ、哲学科、心理学科、教育学科、社会学科、国文学科、英文学科と戦時中閉鎖になっていた神学部を神学科とすることで計7学科を開設した。
49年の専任の教授陣は、今田学部長をはじめ教授13名、助教授5名、専任講師10名、助手8名であった。
学生は旧制度から新制度への移行期で、旧制大学の学生、新制大学の学生、大学予科、専門学校からの移行生が混在していた。
文学部は新制度の文学部として発足した当初から、哲・史・文の3系列の学問分野を整備し、人文科学の全分野にわたる研究教育を構想していたが、まず1951年に史学科、52年には美学科と社会事業学科が相次いで増設された。
その後、59年には独文学科、63年には仏文学科が設置され、文学系の学科の充実が実現した。
神学科は関西学院の創立以来の歴史的経緯からも神学部として独立した学部であることが望まれ、1952年に神学部開設が認可され、直ちに独立した学部として発足した。
また、60年には社会学科と社会事業学科が新たに社会学部を創設し文学部から分離独立した。
大学に昇格して以来30年、文学部は学問研究の動向や社会の要請等を踏まえて発展を遂げ、1963年に9学科構成となった。
その後、77年に教育学科を教育学専修と教育心理学専修の2類に分かち、翌78年に史学科を日本史学・東洋史学・西洋史学・地理学の4類に分かって9学科13専修体制が確立した。
以来、安定的にこの体制で運営されてきたが、90年代の終わりごろから学科再編の必要性が叫ばれるようになった。
文学部内で検討を重ねた結果、2003年度より哲学、美学、史学の3学科を統合して文化歴史学科に、心理学、教育学の2学科を統合して総合心理科学科に、日本文学、英文学、フランス文学、ドイツ文学の4学科を統合して文学言語学科に改編することになった。
文化歴史学科は哲学倫理学、美学芸術学、地理学地域文化学、日本史学、アジア史学、西洋史学の6専修で、総合心理科学科は心理学、教育心理学、臨床教育学の3専修で、文学言語学科は日本文学日本語学、英米文学英語学、フランス文学フランス語学、ドイツ文学ドイツ語学の4専修でそれぞれ構成され、カリキュラムや時間割などは専修単位で企画・起案され、これを学部が調整して管理・運営する形を取っている。
09年度に西宮聖和キャンパスに教育学部が設置された際、総合心理科学科臨床教育学専修がその一翼を担うこととなり、文学部から分離することとなった。
そのため総合心理科学科は残った2専修(心理学・教育心理学)を心理科学専修に統合し、1学科1専修体制となった。
〔研究科〕専門研究者の養成を目指した新制大学院、文学研究科修士課程(博士課程前期課程)は1950年に哲学専攻・心理学専攻・英文学専攻がスタート、翌51年には聖書神学専攻・社会学専攻・日本文学専攻が、52年に教育学専攻が開設され、聖書神学専攻は神学研究科として独立した。
54年に美学専攻と西洋史学専攻、61年に日本史学専攻が開設され、社会学専攻が社会学研究科として独立した。
さらに63年に独文学専攻、67年に仏文学専攻が設置された。
2002年には大学から「大学院学校教育研究科(学校教育専攻)構想」の要請を受け、教育学専攻の中に学校教育学コース(博士課程前期課程)を設置することになった。
07年には03年に文学部が学科改編したことに伴い、その学生たちを受け入れるため、学部同様、07年に研究科においても改編を行った。
これまでの10専攻を文化歴史学、総合心理科学、文学言語学の3専攻に改編し、文化歴史学には哲学倫理学、美学芸術学、地理学地域文化学、日本史学、アジア史学、西洋史学の6領域、総合心理科学には心理学、教育心理学、臨床教育学、学校教育学の4領域、文学言語学には日本文学日本語学、英米文学英語学、フランス文学フランス語学、ドイツ語文学ドイツ語学の4領域を統合した結果、計14領域からなる組織が確立された。
なお総合心理科学専攻は学部の総合心理科学科同様に、2009年に臨床教育学領域の教育学専攻への移管に伴い統合し、心理科学領域および学校教育学領域の2領域となった。
博士課程(博士課程後期課程)については、1954年に哲学・心理学・日本文学・英文学の各専攻で設置され、56年に西洋史学専攻、61年に美学と教育学専攻、63年に日本史学専攻で設置された。
独文学専攻と仏文学専攻は修士課程と同時に博士課程が開設され、10専攻が確立した。
その後2007年に博士課程前期課程同様改編がなされ、3専攻13領域(前期課程における学校教育学領域を除く)体制に、09年には3専攻11領域となった。
文学研究科では、聴講制度と科目等履修制度を設け、正規の大学院生以外の者が特定の科目を学ぶことができるようにしている。
教職課程プログラムでは、専修免許状の取得が可能である。
〔教育〕新制大学では学科課程を、一般教育科目と専門教育科目に分けて構成することになっていたが、文学部では専門教育科目を学科ごとに配当し、1年生で一般教養科目、2年生で一般教養科目と一部の専門教育科目、3、4年生で専門教育科目を履修させ、最終学年度で卒業論文を提出させ、口頭試問を含めた審査に合格することを卒業の要件としてきた。
大学設置基準の大綱化を受けて、1994年に大幅なカリキュラム改正を行い、さらに99年からは総合教育科目と専門教育科目の区分を廃し、キリスト教科目、言語教育科目、学部科目(共通科目および学科専修科目)、広域科目、情報科学科目、特別科目、教職等資格関連科目からなる並列的な科目編成となった。
文学部の教育にとって大きな課題は、学科への分属の時期と方法についてである。
その問題はカリキュラム編成にも関わるものである。
1949年から文学部独自で入学試験を実施し、文学部生として一括入学させて後に学科に分属させる方式を採っていた。
しかし新入生に対する指導の困難さや特定の学科に分属が偏ることから、53年からいわゆる学科別採りが実施された。
大学紛争を経た69年からは再び1、2年生は学科に分属させず、3年生のゼミ選択と同時に所属学科を決定するものと改められた。
この試みは多くの点で積極的に評価されたが、現実的にはやはり特定の学科に学生が集中するという結果が生じた。
その後予備登録制度を導入するなどの努力が重ねられたが課題の解消には至らず、86年には入学時から学科所属とすることになり、それに対応したカリキュラムが編成され、さらに92年から学生募集や合否判定に関しても学科・専修別で行われるようになった。
2003年の学科改編時から、文化歴史学科では思想文化系と歴史系に分けて選抜し、2年次に学生本人の希望に従って専修分属を行い、総合心理科学科では学生募集は学科で実施し、3年次の演習選択時に専修分属を行った。
文学言語学科では専修単位で学生募集を行い、入学の時点で所属専修が決定していた。
その後文化歴史学科は08年から専修別で学生募集を行うことになった。
〔研究〕文学部では1946年に教員による研究組織として関西学院大学文学会が発足した。
その最初の研究発表が47年6月に行われて以来、回を重ねるとともに、50年には「関西学院大学文学会規約」が作られ、それに基づき同年8月にその機関誌として『人文論究』第1巻第1号が刊行された。
当初は季刊制(年間4回発行)であったが、1951年(第2巻)から隔月発行制(年間6回発行)に切り替わった。
しかし、57年(第8巻)から再び季刊制に戻った。
なお、文学会は1956年4月より名称を関西学院大学人文学会に改めた。
『人文論究』以外に、文学部では8つの専修が計10種の学科年報・紀要を発行しており、研究活動を支えている。
大学では、各専任教員の研究業績などは、当該年度に加えて過去5年度分をウェブサイト「関西学院研究業績データベース」で公表している。
文学研究科の教育・研究の活発化を推進するために、文部科学省の競争的資金を獲得し体制を整えている。
これまで研究分野では2002年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア推進事業)に「先端技術による応用心理科学研究」が採択された(~06年度。
その後07年度に申請を行い09年度まで継続)のと、03年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業(産学連携研究推進事業)にアート・インスティチュートによる「江戸時代の小袖に関する復元的研究」が採択され(~07年度)、大きな成果を挙げた実績がある。
大学院教育では05年度に文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブに「理工系分野に貢献する心理科学教育」が採択された(~06年度まで)のと、09年度に文部科学省の組織的な大学院教育改革推進プログラム「国際化社会に貢献する心理科学実践家の養成」が採択され(~11年度まで)、心理科学の研究・教育を推進し、多くの成果を挙げてきた。
現在は文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成事業「心理科学を基盤とするインタラクション評価システムの開発と応用」プロジェクト(10年度採択、~14年度まで)によって、さらに研究環境の発展・拡充を図っている。
【現状】
文学部および文学研究科の概要は関西学院大学ウェブサイトで周知している。
〔学生〕文学部の学生数は、入学定員が770名、収容定員が3,080名であるのに対して、2014年度入学生683名、2年生761名、3年生767名、4年生928名の合わせて3,139名となっている(2014年5月1日現在)。
学部学生は一般入学試験(全学日程、学部個別日程、関学独自方式日程)、大学入試センター試験を利用する入学試験、AO入学試験、グローバル入学試験、指定校推薦入学、高等部推薦入学、協定校推薦入学、提携校推薦入学、外国人留学生入学試験、帰国生徒入学試験、特別選抜(スポーツ活動)入学試験、編入学試験によって選抜され入学が認められた者たちである。
〔教職員〕3学科11専修に所属する専任教員71名、専任職員8名、嘱託職員1名、アルバイト職員3名、派遣職員2名、教務補佐7名によって構成されている(2013年度末現在)。
〔教育〕文学部のカリキュラムは、キリスト教科目、言語教育科目(英語・フランス語・ドイツ語・中国語・朝鮮語・スペイン語から2外国語)、情報処理科目、人文演習、総合科目・入門科目および卒業論文からなる共通科目と、各学科・専修が開講する専門講義科目、特殊講義科目、研究科目、実験実習科目、専門言語科目からなる学科科目から構成され、この2つの科目について各専修で定めた課程表に従って履修し、これに学際・連携科目と称される全学科目や他学部開講科目など学生自らの意志に基づく自由履修を3本の柱とする履修体系をとり、1年生から一部の専門科目も履修できるようにして学生の学習意欲を喚起している。
学科・専修制をとる文学部では一部の講義科目を除き、少人数による授業が展開され、教員との親密なコミュニケーションによる相互理解が進められている。
また総合科目などのように一教科を多数の担当者がそれぞれの観点から論じるオムニバス形式の授業を取り入れるなどの工夫を凝らしている。
文学部では、社会および学生の多様なニーズに応えるため、文学部内副専攻制度を設けている。
さらに大学では、学部の枠を超えた複数分野専攻制(Multidisciplinary Studies:MS)、MSを利用して2つの学部を卒業することができるジョイント・ディグリー(2014年度よりマルチプル・ディグリー)制度も設けており、文学部でも実施している。
また、文学部開設以来、教職課程を設け学生が中学校、高等学校教職員免許状を取得できるようにしている。
〔研究科〕文学研究科の学生の受け入れは、前期課程では9月の第1次入学試験と3月の第2次入学試験、後期課程は3月の一般入学試験と特別入学試験(推薦、社会人、留学生)からなり、一般入学試験に加えて、前期課程への進学については学部生を対象として、後期課程への進学については前期課程学生を対象として推薦入学試験も実施している。
前期課程の入学定員は64名、収容定員は128名、後期課程の入学定員は20名、収容定員は60名であるであるのに対して、学生数は前期課程では2014年度入学生42名、2年生55名の合わせて97名、後期課程は14年度入学生17名、2年生17名、3年生14名の合わせて45名となっている。
2014年度一般入学試験における前期課程の志願者は1次・2次合わせて62名、後期課程の志願者は18名であった。
今後も継続して優秀な学生を確保するための対策に取り組む必要がある。
文学研究科における新制博士学位授与者は、論文博士(乙号)が1962年12月の第1号から2014年3月までの51年間に128名、課程博士(甲号)が1964年2月の第1号から2014年3月までの50年間に159名となっている。
2000年度から課程博士育成の促進を図るため大学院学則や文学研究科内規を大幅に改正するとともに博士学位取得の基準を明確にした。
2006年度入学生から学位論文を提出できる期間が入学時より10年間から原則6年間に短縮された。
文学研究科の大学院生や研究員の研究活動は多様である。
関連学会に所属し、積極的に研究成果を発表している大学院生や研究員も多い。
このような研究活動を支援するため、大学で設けている海外研究助成金制度や大学院奨励研究員制度以外に、文学研究科独自の研究活動支援制度を2008年度から設けた。
人文学会が季刊で発行している『人文論究』に掲載された大学院生や研究員の論文は、10年度16篇、11年度14篇、12年度19篇、13年度13篇を数えている。
また各専攻・領域が公刊している研究誌にも数多く発表されている。
このような成果が認められ、日本学術振興会特別研究員に採用される数も増えてきている。
【参照】Ⅱ 110【文献】『関西学院大学文学部60年史』1994;「文学部教授会記録」;「文学研究科委員会記録」